裏切り者・ユダ ルカ21:3~22:6
「ユダは・・・、どのようにしてイエスを彼らに引き渡そうかと相談した。」 ルカ22:4
いよいよイエスが十字架につけられる前夜の記事です。時は、過越の祭のさなかで、世界各地から巡礼者が神殿にあつまり、ごったかえしていた。この中に、神殿の中枢にいる宗教家たちは、驚くことに22章2節を見ると「イエスを殺そうと」殺人計画を立てていたという。さらに、もっと驚くことは、キリストと寝食をともにしてきた十二弟子の中の「ユダ」という男が、イエスを裏切り、先の宗教屋どもに「売り渡そう」としていたというのです。
裏切りほど卑劣な行為はない。関ヶ原で互角に戦っていたのに、西軍の小早川秀秋の寝返りで、戦況は一変、徳川軍の勝利に終わった。また、本能寺の変での明智光秀の裏切り、また、「ブルータスお前もか」と、シーザーの残念無念。
そして、いまユダは人類の救世主として地上に来られたイエスを、そして、三年間愛顧を受けたイエスを裏切るユダ、人類史最悪の裏切り者の烙印を押されるユダが登場してくるのです。
ユダの裏切りの理由はいろいろ言われています。でも、聖書は、「ユダにサタンが入った」とだけ記しています。サタンは別名悪魔です。悪魔の存在を信じられない人でも、現実に、人は、ある日突然無想だにしない極悪、凶悪犯になるときがあることは、みな知るところでしょう。「魔がさした」としか言いようのない「悪」を、私たちだって無関係ではないでしょう。ルカ
イエスはこの裏切りを早くから察知しておられた、ならば、なぜ追放されなかったのか。やがて売り渡しの時が来たとき敵への合図のためイエスに口づけに接近してくるユダに、イエスは「友よ」と言われる。ここには、イエスは最後の最後までユダが自ら非道にきづき悔い改めることへの期待が込められていたからではありませんか。しかし、サタンに心を占領されてしまっていた彼には通じなかった。人ごとでなく、あすのわが身にならぬように肝に銘じておきた。